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2013.04.21 (Sun)

本日サービスデー7~11

7.

「それで花形君いったい私に何をしろと?ほんとに準備万端整えて、ユノとデートする時間に間に合うようにしてくれるの?
間に合いそうになかったら、髪切る途中でも行くからね!!!」
運転する花形君に鼻息荒く、私は叫んだ。

「実は僕、ドーム学園の理事長の息子なんです。で、もう一人腹違いの息子がいて、そいつと二人で跡目争いしてて…、色々あって、実力で勝負!という事になったんです。今日1日朝の人探しから、すでに勝負は始まっているんです」

「ちょっと待って!プレイバック!プレイバック! って歌ってる場合じゃないんだけど、そんな大事な仕事私無理よ!」

「いえ、奥様を見つけた時、空からの光でスポットライトが当たっていたんです。だからこの人だ!って
すぐにわかったです。今日のコンセプトは(さえない人生とは今日でさよなら)なんです」

「何よ!それ!今谷底に突き落としたわよ。花形君、あなたねー、可愛い顔して言う事きついわねぇ。
後ろ姿の素敵なあなた~で声かけたんじゃないのね?
見るからに冴えない姿で、どこから見ても冴えない人生のオーラ醸し出しちゃってたのね?
ヨヨヨ…もう立ち直れない。今からユノ王子に逢いに行くってーのに」
全身落ち込んで座席からずり落ちそうだ。

慌てて、花形君は
「違います。すみません。すみません。違うんです!言葉が足りませんでした。
冴えない人なんて、山ほどいるんです。でも少しお手伝いして、磨いて差し上げたら、輝くほど美しくなれる。
しかも若さに頼らず、少し衰えかえてるな…くらいの方、そんな方を探していたんです。

「あのねー花形君、あなたそれ褒めてるんだかけなしてるんだか…
私には年とって、衰えてて、冴えないおばさん探してました。 って風に聞こえるんですけど?」
 怒って睨む私に、真っ赤なポルシェを颯爽と乗りこなす、お目目クリクリでえくぼが可愛い花形君は
まっすぐに前を向いたまま、しばらく黙り込んだ。
 信号が赤になり、キュッとブレーキを踏んで、私の目を真っ直ぐに見つめて
「僕に磨かせてください」静かだが、はっきりとした口調でそう言った。

「…お願いします」 それまでの怒りのパワーはどこへやら…
こんな可愛い子にそこまで言われて断れるおばさん、10人に1人くらいだわ。

「では奥様その他もろもろ善処する為に質問ですが…」と言いかけた花形君の言葉をさえぎって、
「ちょっと待って!花形君もう奥様って呼ぶのやめてよ~。なんかこしょばい。
あみでいいです。あみさんって。(その方がもっとこしょばいけど)」
「わかりました。では、あみさん (グヒヒ…)、お家の方には連絡だけで、帰らなくても大丈夫ですか?」

「ダメダメ!さっきも言ったけど、ご飯作って、うちわ作って、シャワーして、ストロベリーつけるんだから」
必死で叫ぶ。

「ご飯はこちらから届けさせて頂いて、うちわはここであみさんの指示のもとスタッフに作らせます。
シャワーは出来ますし、ストロベリーというのはどこの香水で?」

「ミシャのね。蘭子ちゃんに貰ったの。だからここにあるよ」

「足りなければ、買いに走らせますが」

「いい!いい!ちょっと付けるだけでいいのよ。おばさんがストロベリーなんて、おかしいでしょ」
悲しげにほほ笑んだ私に花形君は

「いいえ、あみさんならストロベリー付けたら、食べちゃいたいくらいに変身出来ると思います」

ちょっと奥さん、今の台詞聞きはりました?食べちゃいたいくらいに変身できるんですってよ~~~
ニヤケタ顔で一人呟く。周りに誰かいたら良かったのに!

「さぁ!あみさんつきました。ここです。つづきは歩きながらお聞きします」

車が止まったのは梅田ビル群の中の1つ、大きな看板がやたらと目につくドーモ学園ビルの横だった。
着いたと思ったら、スタッフと思われる人たちが大勢あらわれて、私の荷物も全部運んでくれた。
うやうやしく、頭を下げながら。

なんかほんとにシンデレラになった気分だわ。

車から降りると、また花形君は私の手を引っ張って、ズンズン歩き出した。

「うん!いい感じ~~」 ローラのフレーズが浮かんで、思わず舌を出した。

「あみさん、ちょっとお聞きしにくいのですが…答えられなければもちろん結構なんですが…
先ほどから何度も出てくる、湯野さんというのは…あの…あみさんのご友人で??」

ブッーーーーーーギャハハハ ギャハハハ

「どうされましたか?あみさん」不思議そうに振り返って、花形くんが聞いた。

私は笑いすぎて、涙がこぼれた。
「あーおかしい。 友人だったら良かったんだけどね~。ごめんね、花形君、あ~~笑った。
湯野さんじゃなくて、ユ・ノ カタカナのユノ 東方神起のメンバーよ。
今日のコンサート観に行くの」

「あーなんだ。不倫してらっしゃるのかと思って、ビックリしました。東方神起のメンバーですか。
ユノさんというのはどちらの方で?」

「う~~んとね。この子よ」 携帯の待ち受け画面を即座に見せる。

「あ、知ってます。知ってます。一度雑誌の撮影でご一緒させて頂きました。」

「へぇ~花形君ってすごい人なんだね。そりゃドーモ学園の息子っちだもんね。当り前だよね」
手を引かれて、エレベーターに乗り、最上階に向かう。

「花形君って何歳なの?息子と同じくらいかなぁ~。24,5?」

「僕はこう見えて、30です」

「へぇ~若く見えるねー。童顔だね」

「はい、バカにされて、随分損してます」

「そうなの?女なら大喜びなのにね」

チーンと扉が開くと、またまたそこは私が見たことのないような

夢の中の世界だった。



8、


 エイベックスの事務所に行った時も、見た事のない世界で、びっくりしたけど
ここもまたTVの中でしか見た事ない世界だわ。

 広々としたパーティールームのような部屋からは大阪市内が一望できた。
「あみさん、こっちです」
花形君は私をおばあちゃんだと思ってるんじゃないの? と心配するくらい、手は握ったままだ。
まぁーこんな事ももう一生ないだろうし、このままにしとこ。 ウフッ
 
 次に目の前に広がったのはたぶんパーティーに参加した人の為のゲストルームか、何かなんだろうな、と思われる
超豪華なホテルのスイートルームのような部屋だった。

「では、あみさん時間もありませんし、先にシャワー浴びて頂いていいですか?」

ヒョエ????? 喉の奥から奇妙な声が出た。

先にシャワー?私が先で?花形君が後で??

「あの…その…世間知らずのおばさん、のこのこ着いて来ちゃいましたけど、そんなつもりは毛頭ないのですが…」

「プッ!あみさん、残念ながら僕もそんな気は毛頭ありません」

はっきり、きっぱり、自信満々に花形君は即答した。

「あ…そ…そ…そうですよね…いや、こりゃまた参った。お恥ずかしい。ヘへへ…そんな訳あるわけないはずが、ないはずで」
 穴があったら入りたい。丸虫のように縮こまった。

そんな私の様子を見もせずに、どこからともなく現れたスタッフに、ドーモ学園イケメン御曹司花形君は
あれこれ指示を出した。

 沢山の女性スタッフに連れられ、キャ!という暇もないほど、ゴシゴシ洗われ、エステが始まり
余り過ぎた肉を引っ張っては捨て、ちぎっては捨て、う~ん、5kgは減ったな。と思うくらいに
モミしごかれた。

 そして、花形君はそれまでの可愛いキャラから一転、出来る男の様相でヘアメイクを始めた。
カッコいい~~~花形君。

 周りでは私の指示と若い女の子たちの意見も取り入れながら、うちわ作りも進行していた。
 
 ヘアメイクを終え、今日のコンサート参戦にあうような洋服をささっと選んで、
「これで、きっとユノさんが見てくれますね」と花形君は嬉しい事を言ってくれた。
  
 何時間かが過ぎ、タイムリミットの16時には「冴えない人生とは今日でさよなら」のコンセプト通り、
これは私?黒木瞳?と思われる(自分ではそう思ったが周りの評価は知らない)くらいに、美しく変身した。
…ことにしておこう。 その方が花形君も私も幸せだ。

「あみさん、いかがですか?」うっとりと鏡を見つめる私に、ドヤ顔をした花形君が聞いた。

「ありがとう!花形君。これでユノに逢っても恥ずかしくないよ」

「じゃあ、あみさんストロベリーを少しだけつけて… あ~あみさん、さっきはそんな気、毛頭ない!なんて言いましたけど、少し食べてみたくなりましたよ」 
耳元でストロベリーのように甘く、花形君はささやいた。

 ゴクリ つばを飲み込む音が響いた気がして、恥ずかしい。

「あみさんいちごみたいに、耳まで真っ赤ですよ。意外とウブなんですね」

「な!何言ってんの!花形君!51歳のおばちゃんからかって!フンだ!食べれるもんなら、食べてみなさい!」
必死で言い返す声は、うわずってひっくり返っていた。

「ハッハッハ、じゃぁ又、ゆっくり時間のある時に」

「望む所よ!!!」なぜかファイティングポーズをとる。

「さぁ、冗談はさておき、あみさんお待たせしました。今までの工程はすべて撮影させていただいておりますが、
外に漏れる事はありませんので、ご安心ください。
さぁ、行きましょう!車でお送りします」

「え~?いいの?花形君まだ跡目争いの何かあるんじゃないの?」

「いえ、もういいんです。やれる事はやりました。何だかとっても清々しい気分です。
そんな事はどうでもよくなりました。僕、自分がほんとにやりたい事が分かったような気がします。
ありがとうございました。あみさん」

「花形君、こちらこそいたれりつくせりで、こんな素敵に変身させてもらって、うちわも目立つの出来たし、
それに花形君と知り合いになれて…なんかそれが一番嬉しいよ。全然お金持ちの坊ちゃんみたいじゃくて。
ユノみたいに良い子だね」

「あみさん!」花形君はユノがするみたいにハグしてくれた。

「行きますよ!」そう言うと又おばあちゃんの手を引くように花形君が車まで連れて行って乗せてくれた。

 京セラドームについたのは、ちょうど蘭子ちゃんと待ち合わせた時間通りだった。

「花形君、蘭子ちゃん可愛いんだよ~。ちょっと逢っていく?」

「そうなんですか?じゃあちょっとだけ」キラキラと瞳を輝かせて花形君は即答した。

フフフ…そういうとこはどんな男の子も同じだね。


蘭子ちゃ~~~ん。手をブンブン振るが蘭子ちゃんは中々気づいてくれない。
近づいて目の前で
「蘭子ちゃん!お待たせ!」と言う私を見て、
朝の仕事バージョンの時よりも数段可愛い蘭子ちゃんはクリクリお目目をパチクリさせながら

「あみおばさま?」

「そうよ!蘭子ちゃん私綺麗?」調子に乗るにもほどがある。

「素敵ですぅ~。おばさま…こう言ってはなんですが、別人みたいです」

「そうでしょ?そうでしょ?花形君が冴えない人生からさよならさせてくれたのよ」

二人は向かい合って手をつないで、小さい子供の様にピョンピョン飛び跳ねた。

素敵ですぅ~。
そうでしょ~。 

 終わりそうにない二人の様子を多少引き気味に見ていた
花形君は「ごほん!えへん!ハークション!」白々しくアピールした。

 やっと飛び跳ねるのをやめて、
「あ、花形君ごめんね。忘れてたわ。こちら蘭子ちゃん。で蘭子ちゃん、この人はドーモ学園の御曹司の花形満君よ。奇妙な縁で私を変身させてくれたのよ」

「初めまして、花形満です」さっきまでとは全く違った態度で蘭子ちゃんに挨拶した。

「あ、初めまして蘭子です」上目使いに蘭子ちゃんは答えた。さすがだ。可愛すぎる。

 この上目使いで何人の男の子一ころにしてきたんだろ…。
花形君を見ると、御曹司ともあろうものが、よだれがたれそうだ。

「おば様、早く入らないと…蘭子もおば様をご案内するためにスタッフのIDカード貰いました。なんか凄い席みたいですよ。。。。おば様どうしましょう?蘭子までドキドキします」
え~~プリティー蘭子ちゃんもそばにくるのね?とここまでお世話になっても思ってしまう。小さい人間だ。

こっちからです!おば様急ぎましょう!花形君はどこへやら。すっかりユノに気持ちの向いてしまった
恩知らずな私は蘭子ちゃんに手を引かれて、関係者以外立ち入り禁止区域から中に入った。


 そこで私の見た光景は繰り返し繰り返し何百回と見たDVDの中の世界だった。
ここにユノが!?ここに最強様が!? もう倒れそうだ。
「蘭子ちゃん、救心ある??」心臓を押さえながら、聞く私に
キョロキョロする蘭子ちゃんが叫んだ。

「キャーおば様。お二人が~~~~~~~」







9.

「キャ~~どうする?どうする? 蘭子ちゃん私恐ろしくて、恥ずかしくて…… やだ。やだ。

私帰る」

「おばさま!何を言っているのですか!こんなチャンスはもう二度と来ませんよ!
蘭子にだって、来ないかもしれないこのビッグチャンス!
おばさまにおとづれるはずが… いえ、失礼しました。おばさま。
ブラック蘭子になってしまいました」

そんな騒がしい二人のそばをブラックの素敵な衣装に身を包んだ二人の王子が
沢山のスタッフと一緒に通り過ぎた。
これは幻?私の目の前をユノが通った?あーこれはきっと夢だわ。
どうかさめないで。

「おば様!おば様!大丈夫ですか??おば様!いっちゃってる場合じゃないですよ!
早くスタッフ席につかないと、何だか役割があるみたいですよ」

「ここはどこ?私は誰?あなたはユノ?」

「おばさまーーーーーーーーーーーー。私はユノ様ではありません!しっかりしてください!」
蘭子ちゃんは私の両肩を持って、強く揺さぶった。

「あら…蘭子ちゃん…ごきげんよう」

「ごきげんようではありませんわ。早く行きますよ!」

「あ、はい」

「おはようございまーす。おはようございまーす。」鈴の音のような可愛い声ですれ違う人皆に
挨拶しながらプリティー蘭子ちゃんは突き進んでいく。

 第4スタッフルームと書かれた部屋のドアを開けると、ライブ前の緊張感でピリピリした雰囲気が
充満していた。

「おはようございます!皆さんお忙しいとことすみません。こちら本日わが社を救ってくださった
鈴木あみさんです。」
 忙しそうに動いていたスタッフ全員が手をとめて、私のそばに集まってきた。
「あみさん、ありがとうございました。私達みんな露頭に迷うところでした」
口ぐちにそう言い、握手を求めてきた。
 
 あっけにとられながら、皆と握手をし
「あの書類そんなに重要なものだったの??全くそんな風に思えなかったわよ…
まぁ、でもこんなにたくさんの方を助けられて良かったです。
それに大好きな東方神起のコンサートにご招待していただいて、ほんとにありがとうございました」

「いえ、とんでもない。今日は特等席で見て頂きますので、じっくり楽しんで行ってくださいね。
タオル投げる係りの隣の席ですがよろしいですか?え~~っと、ユノさんの方でよろしかったですね?」


バタッ

「ギャーあみさん、どうされましたか?」

嬉しさのあまり気を失った。

「だ、大丈夫です」

「今日はいろいろサプライズでびっくりする事あると思いますから、気を確かに持っていてくださいよ。
さぁーではこちらです」

「本日ラッキーデー あみさん入られまーす」スタッフのイヤモニで一斉にみんなに行き渡ったが
血が頭に昇って、今にも鼻血出そうなほど、興奮した私の耳には入らなかった。

「ではあみおば様~~~また後で~~楽しんでくださいね~~」

「蘭子ちゃ~~~ん。ありがとう!また後でメールするね~~~」

「は~~~い、待ってます~~」

 すっかり旧知の友になった、蘭子ちゃんと私はしばしの別れを惜しんだ。

 DVDでしか見た事のない楽屋裏の通路を通り、もうすでに満員で、二人の登場を今か今かと待ちくたびれる人たちの熱気で、むせかえりそうな会場に私達は入った。
 プレミアムの席の近くだが、あきらかに関係者席だ。ちゃんとスタッフGも着せられていた。

 フフン。私はスタッフよ。
コスプレマニアの人が警察官やパイロットの制服を着たがる気持ちがよくわかった。
ジャンパー一枚で人間が変わったような気分だ。

「さぁーあみさん、そろそろ始まりますよ。最初はここには出ませんけどね」
タオル投げ係りの滝沢君がそっと教えてくれた。DVDに写ってたことあったような、どこかで見た顔だ。

「知っていますとも。私今日で5回目なのよ。滝沢君。興奮していても大体の流れくらいは覚えているわ」
と、言おうと思ったが、本当のスタッフ滝沢君はとっても忙しそうだったので、やめた。

最初は二人とも、サブに登場よね。思わず叫びそうだけど大丈夫かしら?
その時、会場が真っ暗になり、悲鳴と歓声が広いドームに響き渡った。

「ギャーーーーー」条件反射のように私も一緒に叫んでいた。
スタッフだろうが何だろうがもうどうでもよい。怒られたら謝ろう。

私は滝沢君が忙しく動き回っているのをいいことにペンラもうちわもかばんから取り出して、大きく音に合わせて振り出した。


バーーーン 登場~~~
あ~素敵な王子様。今日もとっても素敵です。サブからの登場でまだ後姿だが、それでもやっぱり
二人は王子様だった。
 何曲かサブステージで歌い、メインステージに二人が現れた時には、スタッフGを脱ぎ捨て、プレミアムの人の横に並び、
「神席で良かったね~。かっこいいね~。惚れ直しちゃったね。帰って旦那の顔なんか見たくないよね」
などと話して、すっかり打ち解けていた。
さっきまでスタッフG着てた人だとはだれも気付かない。

来た!来た!チャンミ~~~ン。周りからの絶叫も大音量でかき消され、二人には届かない。

まず、最強様にこれを!!どうだ!!見て~~~!!!チャンミン~~~!!!
うちわを大きく左右に振った。
ユノが初めに挨拶をしてそれを横で見ていたチャンミンが話の切れ目に、パッとこちらを見た。
そして、確かにこちらを見た。
「プッ」

やった~!!!最強様が笑った。このうちわ見て笑ったよ!大成功だよ!花形スタッフありがとう!
チャンミンが見てくれたよ。
 次はユノ! ユノはどんな反応してくれるかな。
反対側からこちらへ向かうユノは私のうちわをじっと見つめていた。

あれは何だ?何が書いてあるんだ?気になる!とっても気になる!  とでも言いたげな表情だ。

見てる。見てる。やっぱりね。大好きですものね。素直なユノの事ですもの。
絶対に食いつくと思ったわ。

「ユノ~~~~」ここぞとばかりにうちわをブンブン振って、アピールする。
すると!神様ありがとう!
ユノが満面の笑みで親指をたてて、私に合図してくれた。

あーもう死んでもいい。お父さんお母さん、先立つ不孝をお許しください。

いや!いかん。いかん。まだ死ぬにはちょっと早い。
せめて、このコンサートが全部終わるまで。

「チャンミン、ほら!見て!あれおいしそうだよ!!」
「そうですね。さっき僕にもとっても旨そうなの見せてくれましたよ」

何?何?どれなの?会場がざわめく。
スクリーンに私のうちわがド。ドーーンと映し出された。


10


「映ってますよ!ほら!奥さんのうちわが!ほら!ほら!」

隣の奥様が私よりも嬉しそうに叫ぶ。

「やりましたわ!奥様ありがとう!」

かたくハグする。

「二人共こっち見てましたよね!?私目合いましたもの」

……奥様ではなく、うちわだと思います。  

そう思ったがみんなの幸せをぶち壊してはいけない。

世の中の平和のため

「ええ、ええ、奥様もですか?私もです」

これが仲間というものだ。

大きなスクリーンに映ったうちわはすぐに消え

誰このおばさん。どこかで見た顔ね。

突然観客席が映った。

また、隣の奥様が私の肩をバンバン叩きながら、叫んでいる。

が、何を言っているのかさっぱり聞こえない。

よくよくスクリーンを見ると、それなりに変身はしたものの、

やっぱりおばさんはおばさんよね。

いくら花形君でも私を蘭子ちゃんには変えられないわ。。。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


って、私じゃないのーーーーーーーーーーーーーーー

どういう事よ!!!!

「今日は特別企画です」 チャンミンが叫んだ。

「いっちばんのくじを引いた方、あがってきってくださーい」

ユノが笑って、私の方に手を差し出した。

ユノが笑って、私の方に手を差し出した。

ユノが笑って、私の方に手を差し出した。

ユノが笑って、私の方に手を差し出した。

ユノが…     頭のテープがいかれた。考えが前に進まない。

いっちばんくじなんか引いた覚えないけど…

滝沢君が飛んできて、

「あみさん!早く上がってください!これ!1番です」大きく1番と書かれた紙を握らせながら

引っ張ってステージに連れていく。


「時間押してますから、早く来てください!」最強チャンミン様に怒られた。

「ダメだよ~~チャンミン。大当たりなんだからね、優しくしなきゃダメなんだよ」

ユノは優しく笑っている。

ユノ様今参ります。私頑張って歩いているのですが、震えて中々進めません。

すると、「はい、わかりました~」と言いながら

近い方にいた、チャンミンが迎えに来てくれて、手を引いてステージ中央まで連れて行ってくれた。

大きな手。そしてやっぱり背が高い。


ごめんなさい。皆さま… きっとみんな怒ってるだろうな…

卵飛んでこないかな… 帰り気をつけなきゃ。殴られるかもしれない… と思いチラッと

客席を見るが、なぜか皆ほほ笑んでいる。

良かったですね~。という声まで聞こえそうなくらいだ。

うそよ!私なら、絶対腹たつわ!何よ!あの人!って睨むわ。

座席にガムでも置くかもしれない。

「どうぞ、こちらへ」いつの間に置かれたのか、ステージ中央にあるソファへ座るように

ユノがさっと手を広げた。

ユノだ。ユノだよ。ユノですよ。 ユノ3段活用でつぶやく。

顔小さい…私の半分くらいしかない。

ポスターじゃない、DVDでもない、本物のユノがここにいる。

涙がポロリとこぼれた。

「うわぁー泣かないでくださいよぅー。楽しいことはこれからですよぅ~」

ユノが慌てて、私の顔を覗きこみながら、そう言った。

会場からもすすり泣きが聞こえる。

きっとみんな同じ気持ちなんだろうなぁ~

「ありがとう!皆さん!みんなの分まで楽しませて頂きます!自分だと思って、幽体離脱してのり移っちゃって

ください! ただし、きつねさん以外でお願いします」

ユノが心配そうにのぞきこんでくれるので、

「はい、大丈夫です!ありがとうございます」と涙をふいた。

すると、タイミングよく、曲が流れ始めた。

これは…この曲は… え~~もしかして

二人が順番に私に向かって、歌ってくれる。

♪休みとって、どこか出かけよう~  君の事をおもうよ。オーマイガー ♪

ユノは私の前にひざまずき、手をとった。


「あーロミオ。なぜにあなたはロミオなの?」

そして、期待通りにユノが軽く私の手の甲にキスしてくれた。


じっと、手の甲を見つめて…   これ… この手の甲  …今 舐めたい。

そんな変態な気持ちを押さえこんでいると、

次はチャンミンが私の横に座って、肩を抱き、私の方を見ながら

歌ってくれる。

♪ いつかは同じ場所に帰れるようになればいいよね。  愛してるって、もう一度言ってみて 寝ちゃったかな~♪

「寝れるかい!!」バシッと突っ込んだら、チャンミンびっくりするだろうなぁ~

いっぱい汗かいてる…   その汗ください …汗まで綺麗。

大きなお目目に見つめられ、吸い込まれそうになっていると、

反対側にユノが座った。

東方神起サンド おばさん入り。

ユノの顔が恥ずかしくて見れない。

「頑張れ私!頑張ってユノの顔を見るのよ!」

そ~~~っとチャンミンからユノへと首をターンしようとした瞬間

曲が終わり、二人が私の頬にキスをした。

昇天。白目向いたかもしれない。映ってはいけないおぞましい顔だったかもしれない。

しかし、そんな事はもうどうでもよい。

会場が暗くなり、3人が座ったソファーはそのままステージ下奈落に降りた。

座ったままユノが「良い匂いがしますね。なんか食べたくなっちゃいます」と言って

ニコッと笑った。

蘭子ちゃ~~ん。ありがとう!ストロベリーのおかげよ。

やっと、ユノの顔がまともに見れた。と思ったのも束の間

二人はスタッフに連れられて、衣装チェンジでもするのだろう

小走りで去っていく。

「ありがとうございました~~!!」大きな声で叫ぶと

二人は同時に立ち止まって、振り向き、丁寧にお辞儀してくれた。

あ~なんて、良い人達。やっぱり裏でもこんなに律儀なんだわ。






11.

 手の甲、手の甲  ブチュツ! 間接キスよ~!!!
顔も洗えないわ。どうしましょう??保存するにはどうすればいいの??
跳んだり、跳ねたり、自分の手にキスしたり、周りから見たら、あきらかに不審な人物に見えたであろう。
しかし、幸か不幸か周りには誰もいなかった。
「あれ?滝沢君は?」
ユノが行った方向に進む。

やだな~。次の曲がはじまっちゃうじゃなーい。滝沢君~ どこから戻ればいいんだろう。

ドーン!キャ~~~  大歓声だ。

あ~あ、次の曲始まった…
良い事ありすぎて、1回休み…みたいな?
ハッハッハ うまいこと言うなぁ私。 
 なんて、呑気な事言ってる場合じゃないのよね…
 それにしても、他のスタッフもどこ行ったんだろう?いくらなんでも合わなさすぎだよね。
そこで、やっと気づいた。ユノが行った方だと思っていたが、底なし方向音痴の私は反対方向に進んでいた。
大変大変!早く戻らなきゃー 1曲終わっちゃったよ。確か次はチャンミンのソロだな。
 キョロキョロしながら、戻っていくと、ようやくスタッフらしき人たちに出会い、
「あみさん!滝沢が探してましたよ!」なぜか、面が割れている。
「そうなのよ~!タッキーどこ?」いつの間にタッキーよわばり…
「今呼びますから、あみさんここで待っててください。じっと動かないでくださいよ。ここなら、モニターもありますし」
「あ~良かった。チャミソロも観たかったのよ~。このままだと、1回休んで3つ戻る。だったのよ」
親切なスタッフは不思議そうに何言ってんだ?みたいな顔をしながら、滝沢君を探してくれる。
 ソファに座って、チャンミンのソロ曲を観ていると
「救急車だ!早く!」叫び声がした。「ユノは大丈夫か!?」
それを聞いて、私は叫び声がする方に走った。何年ぶりかの全力疾走だ。
「ユノ!ユノは大丈夫なの??」
 舞台そでの機材とコードが山ほどある場所に沢山のスタッフが集まっている。
「どうしました?大丈夫ですか?」人混みをかき分け、かき分け、中まで入ると、
腕から血を流して、横たわるスタッフがいた。
「どうしたの!?」思わず駆け寄る。
「機材が倒れてきて…腕が… 」声は小さいが意識はしっかりしている。
「頭は打ってない?」
「はい、大丈夫です」その返事とかぶさるように
「みやけさん…大丈夫ですか?すみません。ぽくのせいです…ぽくがコード引っかけたから」
ユノが不安げな表情でそう言った。
「ユノさん、違います。僕が当たったんです。だから、ユノさんは早く次の準備してください」
三宅君はユノを気遣い、痛そうにしながらそう言った。
「とりあえず、明るい所へ運んでください!!!」
「は…はい」
 俄然張り切り出した、私の指示にとりあえずみんな従う。
 舞台ではチャンミンのハイトーンボイスが響き渡っている。
 明るい所で三宅君を見ると、腕がへんな方向に曲がっている。
「清潔な布と添え木になるような物!」周りで覗き込むスタッフに私は叫んだ。
「おい!誰か早く持ってこい! あみさん、お医者様なんですか?」なぜかスタッフは皆私の事を知っている。
「いえ、私は元ヤンです」
「へ?元ヤン?ヤンキーですか?」
「あ、違った。それは違う名刺だ。元看護師です」
 そう答えながら、止血をし、骨をゴキっとまともな形に戻して、添え木をして、グルグル巻いた。
「あとは病院でちゃんと診て貰えば、大丈夫。腕の神経がどうなってるかがわからないけど、早く診て貰えば、きっと大丈夫!」
 倒れたスタッフ三宅君にそう言っていると、横で
「ユノさん!ユノさん!大丈夫ですか?」スタッフがユノを抱えて、叫んでいる。
真っ青な顔をして、肩で息して震えている。…過呼吸だ…
「袋!袋!なんか袋ない?? ユノ大丈夫?」
「ぽくのせいで…ぽくのせいで………」後は韓国語で何を言っているのか分からない。
「ユノ!大丈夫よ。もう出血も止めたし、すぐに病院で診て貰えば、三宅君は大丈夫だから」
ユノの手を握りながら
「大丈夫。もう大丈夫だから」そう慰めた。
「ハァハァハァハァ…苦しい…息が出来ない…」
「早く!袋ないの!?」
「あみさん、あの…これでもいいですか?」
酸素吸入器を持ってきた。
「いいに決まってるじゃない!むしろそっちの方がいいのよ!ユノこれ口に当てて、ゆっくり呼吸して、
ゆっくりだよ。はいて~すって~」
ハァハァハァハァ まだ震えている。

可哀想に。可哀想にユノ。責任感の強いユノだもの。全責任かぶっちゃったんだね。
私は思わずギュッとユノを抱きしめて、背中をさすった。
「大丈夫。大丈夫だよ。ユノもう大丈夫だから。ユノの責任じゃないよ。三宅君も大丈夫!ライブも大丈夫!全部全部大丈夫だから!!」
 震えるユノの大きな背中を優しくさすった。
「大丈夫だよ!大丈夫だよ!ユノ!!大丈夫だよ!」

「水くださ~~い」ソロを歌い終えたチャンミンが戻ってきた。
「どうしたんですか?」ただ事ではない雰囲気とユノの打ちひしがれた姿を見て、チャンミンの口調が一変した。
「チャンミナ…    」弱々しい声でユノがつぶやいた。韓国語は分からないが、それだけは聞き取れた。
「ヒョン!大丈夫ですか?けがは?」
 チャンミンはそう叫ぶと、私から奪い取るようにして、ユノを抱きしめた。何も言わずにギュッと抱きしめている。
 誰も、何も寄せ付けないオーラとバリアが抱きしめ合う二人の周りに張り巡らされている。

 こうやって、二人はずっといろんな事を乗り越えてきたんだな。
スタッフと一緒に…スタッフのおかげで っていつも二人は言うけど、いろんな所に行くたびに、違うスタッフで… 最後は結局二人で… 何も言わなくてもこうして二人で支え合って…
強くて深い、愛と絆で二人は繋がっているんだな…
そう思うと私は涙が止まらなくなった。

 チャンミンに抱きしめられたユノは落ち着いてきたのか、ようやく私の存在に気づき
「あ、いっちばんのいちごの人… ありがとごじゃいました」
 そう言うと、チャンミンに抱きかかえられながら、違う控室へと歩き出した。
スタッフもそろそろ慌てだし、いろんな所で怒号が飛び交っている。
 どうやら、今は運よくダンサーさんの紹介だったようだ。
「ユノ!!!ファイティン!!!」
花形マジックで化けていた顔が、涙と鼻水でぐじゃぐじゃだが、そんな事にも気づかず、私はユノに親指をたてて、そう叫んだ。
 ユノも親指をたてて、答えてくれた。 頑張って…ユノ チャンミン そう祈らずにはいられなかった。



 


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